座学:ヨガスートラ①【ヤマ】・ヨガスートラ②【ニヤマ】
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■ヨガの八支則とは?最初の段階「ヤマ」「ニヤマ」
紀元前400年ごろ、聖者パタンジャリにより編纂されたという
「ヨガ・スートラ」。
口伝伝承の教えをまとめた本で、
4章195節のサンスクリット語の文章で構成されています。
「スートラ」=糸
スートラとは糸の意味、糸のような短い文章が集められた文献です。
1本1本想いを込めて紡ぐ糸のように、
それぞれの文章には美しい意味が込められています。
現代ヨガにおいて、「ヨガ・スートラ」はヨガを学ぶための
重要な経典の1つとされています。
この本では八支則(アシュタンガ)と言われる8つの段階が説かれています。
ヨガを深めるために踏んでいくべき実践の段階で、
この8つ(アシュタンガ)の段階に沿ってヨガを学んでいくと良いとされています。
この中でも最初の「ヤマ」「ニヤマ」は社会的・個人的な行動規範であると言われています。
日常生活を送る中でやってはいけない事、やるべき事、心がけが説かれています。
またヨガ哲学の基本的な教えになります。
心身ともに健康的な人生を送るための教訓ともいえるでしょう。
日々の生活の中で自分自身と向きあい、また心を乱さない。
心をコントロールする練習にもなります。
「ヤマ」「ニヤマ」には私たちが心身ともに健やかに過ごす為の
ヒントがたくさん詰まっています。
■ヨガの八支則(アシュタンガ)
(段階を追って学んでいきます。)
1:ヤマ | 禁戒 | |
2:ニヤマ | 勧戒 | |
3:アーサナ | 坐法 | |
4:プラーナヤーマ | 呼吸法、調気 | |
5:プラティヤハーラ | 感覚の制御 | ↑ここまでの5つが 外的支則 (バヒランガ) |
6:ダーラナー | 集中、凝念 | ↓ここから3つが 内的支則 (アンタランガ) |
7:ディヤーナ | 瞑想、静慮 | |
8:サマディ | 三昧、悟り、解脱 |
■「ヤマ」禁戒
八支則の第1段階。
日常生活で行なってはいけない5つの心得。
①アヒムサ | AHIMSA | 非暴力、不殺生 |
②サティヤ | SATYA | 正直 |
③アスティーヤ | ASTYA | 不盗 |
④ブラフマチャリヤ | BRAHMACHARYA | 禁欲 |
⑤アパリグラハ | APARIGRAHA | 不貪 |
①アヒムサ
暴力を振るわない、言葉の暴力、思考の暴力も含む
②サティヤ
自分のエゴや利益を守るための嘘をつかない、正直であるべき。
③アスティーヤ
物だけでなく、信頼、時間、利益などを盗まない。
④ブラフマチャリヤ
利己的な欲を満たそうとしない、必要以上に欲する事はしない、エネルギーの無駄使いをしない。
⑤アパリグラハ
貪らない、貪欲にならない。必要以上に物を持たない。
■ニヤマ「勧戒」
八支則の第2段階。
日常生活で実践すべき5つの行い。
①シャウチャー | SAUCHA | 清浄 |
②サントーシャ | SANTOSHA | 知足 |
③タパス | TAPAS | 苦行、規律、自制 |
④スヴァディヤーヤ | SVADHYAYA | 読誦、学習 |
⑤イーシュヴァラプラニダーナ | ISHAVARAPRANIDHANA | 神への信仰 |
①シャウチャー
自分の身体と心を常に清潔に保つこと。身の回りの環境や空間、
嫉妬や妬み、悪い感情を持たないといった心の清浄を保つことも含まれる。
②サントーシャ
今身の回りにあるものに満足すること。所有している物、今置かれている環境、健康状態、人間関係、物質的な事柄全てを含む。
「足りない」という考え方ではなく、既に満たされているという考え方。
③タパス
目の前のことから逃げずに、やるべきことをやる。
困難なこと難しいことでもチャレンジし、苦難を苦難と思わず乗り越える精神を鍛える。
④スヴァディヤーヤ
経典を読む、自分自身への探求を深め学ぶ。
常に学びの心を持ち、全ての物事と接する。
勉強、追求した内容を智慧のレベルまで深める。
⑤イーシュヴァラプラニダーナ
感謝の気持ち、献身の心を常に持つ。
良い悪いでは無く、目の前のことを受け入れる気持ちを持つ。
全ての物を敬愛しそれに基づいた行動をとる。
ーーー
このように「ヤマ」(禁戒)・「ニヤマ」(勧戒)で語られている内容は、
現代に生きる私たちの心にも素直に響くものだと思います。
難しいことを説いているのではありません。
「しすぎていることを少し減らしてみる」
「しなさすぎることを少し増やしてみる」
まずはここからスタートです。
「ヤマ」「ニヤマ」をバランス良く日々の生活に取り入れながら、
調和のとれた健やかな心身に近づきましょう!
ーーー
■アーユルヴェーダでは「アーチャーラ・ラサーヤナ」
ちなみに・・・
アーユルヴェーダにおいても、精神の健康を保つためにするべき・避けるべき行いについて説明した「アーチャーラ・ラサーヤナ」があります。
「アーチャーラ・ラサーヤナ」=行いにおける強壮法
この教えはヨガにおける「ヤマ」「ニヤマ」の内容と多くが共通しています。
より具体的に説明されていて、とても心に響く内容になっています。
追ってアーユルヴェーダの「アーチャーラ・ラサーヤナ」 について、
記事にする予定です。